今回の【牛込探訪記】は、江戸時代初期の寛永七年(1630年)に開山した日蓮宗の感通寺(かんつうじ)を訪ねました。早稲田駅から徒歩3分ほどの松平越後守の下屋敷⾼⽥御殿跡という由緒ある場所に感通寺はあります。境内には本堂ともに毘沙門天堂と竹駒稲荷尊があり、安置されている毘沙門天像は上杉謙信公が深く尊敬した霊像で、今も霊験あらたかな毘沙門天様として信仰されています。
ご住職の新間 正興(しんま しょうこう)さんにお話を伺いました。
お寺ができること
江戸時代、お寺は人々の生活の中心にありました。生まれたらお寺の和尚さんに名前をつけてもらい、お寺で学び、何かあるとお寺に相談し、戸籍の管理もお寺がしていました。それが現代はお葬式や法要の時くらいしか関わりがない方がほとんどでしょう。そうした現代のお寺の役割についてご住職にお聞きすると「生きることに向き合う場所になれれば」と笑顔で答えてくれました。また、生きることを学ぶ上で、子供の居場所が大切とお話しされました。
この子供の居場所が大切ということは、ご住職がお考えの「テンプルステイ」につながっています。テンプルステイではお寺に泊まり、朝起きて顔を洗い、掃除をして、お経をあげ、ご飯を作って食べ、お茶碗の持ち方、箸の作法、ごちそうさま・いただきます、レクレーション、お釈迦様のお話、夜はみんなで銭湯に行ってというような経験をさせてもらえます。「お寺でしたことは家に帰れば忘れてしまうかもしれませんが、そうした『経験』を子供たちに残してあげたい」とご住職はおっしゃいます。
今はコロナ禍でこの取り組みを始めることができないのがとても残念に感じました。
葬儀について
葬儀についてもご住職にお聞きしました。
「人が亡くなることは自然なことです。皆さん頭ではわかっていても受け入れるのは難しい。そのためにお通夜、お葬儀があって、一周忌、三回忌、七回忌、十三回忌があり、時間をかけて苦しみを手放していくのです。そのプロセスの中に、教えの力を学び、宗派の教えの素晴らしさが生きてくるのです」とご住職。葬儀の大切さを改めて感じることができました。
感通寺では檀家でなくても、他の霊園にお墓を持っている方でも、求められれば供養をしています。お寺のホームページには、さまざまな相談に応じることも書かれていて、広く開かれたお寺だと感じました。
ご住職 新間 正興(しんま しょうこう)さん
本妙山 感通寺
東京都新宿区喜久井町39
03-3209-8782
https://www.kantsuji.tokyo